実務ガイド / 2026.07.16
施主とのやり取りをLINEで管理する方法
施主との連絡は、いまやほとんどがLINEで始まります。問題は、個人のトークに埋もれたやり取りが「業務の記録」にならないこと。建築士・小規模工務店の実務を前提に、個人LINEの限界、事業用アカウントの選び方、案件ごとに記録を残す運用ルールを整理しました。
個人LINEのままだと何が起きるか
「施主が使い慣れているから」とそのまま個人LINEで受け続けると、案件数が増えるにつれて次の4つの問題が積み上がります。
問題 | 内容 |
|---|---|
必要なメッセージが探せない | 家族や友人のトークに施主の連絡が混ざり、「あの仕様変更の話、どこだったか」を遡って探すことになる。案件が3件を超えたあたりから、探す時間そのものが業務を圧迫し始める。 |
写真・図面が案件ごとに整理されない | トークに流れた現場写真やPDFは保存期間が過ぎると開けなくなることがあり、端末の機種変更でも消える。工事監理の記録として使うには、案件単位で日時つきの保管場所に移す作業が別途必要になる。 |
電子帳簿保存法の保存要件を満たせない | LINEで受け取った見積書・請求書などの取引データは「電子取引」にあたり、改ざん防止措置と日付・金額・取引先で検索できる状態での保存が義務。個人LINEのトーク履歴のままでは、この要件を満たす形にならない。 |
言った言わないの争いに弱い | 口頭やスタンプで済ませた合意は、追加工事や仕様変更の齟齬が起きたときに証拠として弱い。誰が・いつ・何を承認したかがテキストと日時で残る形にしておくことが、施主との関係を守る。 |
事業用の選択肢を比べる
施主側は普段のLINEをそのまま使い、事務所側だけ窓口を変える——どれが現実的かは事務所の規模で決まります。
選択肢 | 向いているケース | 内容 |
|---|---|---|
個人LINE | 案件が1〜2件で、施主とも顔の見える関係が続く場合の暫定運用。 | 始めるコストはゼロだが、業務と私生活が同じ画面に混ざる。トーク履歴のエクスポートや案件単位の整理は手作業で、保存義務のある書類のやり取りには向かない。 |
LINE公式アカウント | 事務所として窓口を分けたい一人事務所の第一歩。 | 無料のコミュニケーションプランから始められ、施主との1対1チャットはメッセージ通数のカウント対象外。一斉配信は月200通までの上限がある(2026年時点)。複数施主のトークを事業用の一つの窓口にまとめられるが、案件フォルダや検索・保存の仕組みは別途必要。 |
LINE WORKS | 従業員や協力業者と社内チャットも一緒に整えたい工務店向け。 | 外部トーク連携で施主の個人LINEとつながれる。管理機能は充実する一方、社内グループウェアとしての性格が強く、一人事務所には過剰になりやすい。施主側の見え方は通常のLINEトークのまま。 |
※ 各サービスの料金・機能は変わります。導入前に提供元の最新情報を確認してください。
案件ごとに記録を残す運用ルール
窓口を一つに決める
施主への最初の説明で「連絡はこのLINEに一本化します」と伝える。電話で受けた内容も、あとから要点をトークに書いて残す。メール・電話・LINEの三本立てをやめるだけで、探す時間と抜け漏れが目に見えて減る。
案件単位で記録を残す
トークは時系列にしか流れないので、写真・図面・決定事項は案件ごとの保管場所に移して初めて記録になる。移す作業を後回しにすると必ず溜まる——受け取った瞬間に自動で振り分けられる仕組みが理想。
合意はテキストと日時で残す
仕様変更・追加費用・工期の変更は、口頭で合意しても必ずトークで「〜で進めます」と一文にして送り、施主の返信をもらう。承認の日時が残る形にしておくことが、のちの紛争予防になる。
Tategumiは、この運用を仕組みごと引き受ける一人の建築士事務所向けの業務OSです。施主はQRコードを読むだけで普段のLINEからつながり、メッセージ・写真は案件ごとに自動整理されて全文検索できます。見積の承認はワンタップで日時つきの記録に残り、やり取りは電子帳簿保存法に対応した改ざん防止アーカイブに保存されます。現在は先行ユーザー登録を受付中です。製品の詳細はトップページへ。
建築士法・税法上の記録義務の全体像は、建築士事務所の業務管理ガイドにまとめています。
よくある質問
施主とのやり取りに個人LINEを使い続けても問題ありませんか?
禁止されているわけではありませんが、案件数が増えると検索性と記録性の限界が来ます。特にLINE上で見積書・請求書のやり取りをする場合は電子帳簿保存法の保存要件がかかるため、事業用の窓口と案件単位の保存の仕組みを整えることをおすすめします。
LINEで受け取った見積書や請求書は電子帳簿保存法の対象になりますか?
対象になります。チャットで授受した取引データは「電子取引」にあたり、紙に印刷しての保存は認められず、改ざん防止措置と日付・金額・取引先で検索できる形での電子保存が義務付けられています。
LINE公式アカウントは無料で使えますか?
無料のコミュニケーションプランがあり、施主との1対1チャットはメッセージ通数のカウント対象外です。一斉配信メッセージは月200通までの上限があります(2026年時点。最新の料金体系はLINEヤフー社の公式情報を確認してください)。
今日から使える無料ツール
施主に送る報告づくりに使える無料ツールを公開しています。現場写真から監理レポートを自動作成するツールや、図面の変更箇所チェッカーなど、登録なしで結果まで確認できます。
Tategumi は一人の建築士事務所のための業務OS。 LINE連携・請求書支払い・工事写真管理を一つのループでつなぎます。