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実務ガイド / 2026.07.18

設計事務所の
インボイス制度対応ガイド

2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、設計事務所の請求書発行業務にも影響します。登録の要否から、適格請求書の書き方、分割請求時の注意点まで、一人の建築士事務所を想定して整理しました。

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01 インボイス制度が設計事務所に関係する理由

インボイス制度は、消費税の仕入税額控除(受け取った消費税から支払った消費税を差し引ける仕組み)を受けるために、国税庁が登録した発行事業者の「登録番号」が記載された請求書が必要、というルールです。

建築設計サービスは消費税の課税取引です。設計料を受け取るとき、施主(クライアント)が法人や課税事業者であれば、原則として登録番号付きの適格請求書を発行しないと相手方が消費税の控除を受けられません。結果として、クライアントから「インボイス登録をしていますか?」と確認が入るケースが増えています。

一方、施主が個人(一般の住宅施主)であれば、相手方に仕入税額控除の需要がないため、登録番号がなくても直接の問題は生じません。クライアントの属性に応じて登録の優先度を判断することが実務上の出発点です。

02 適格請求書発行事業者への登録手順

登録は国税庁の「e-Tax」またはインボイス登録センターへの書面申請で行います。主な流れは次のとおりです。

  1. 01

    e-Taxにログインし、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出(または郵送)

  2. 02

    審査後、登録番号(T+13桁の法人番号 or 個人は秘匿されたランダム番号)が発行される

  3. 03

    国税庁の「インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト」に情報が掲載される

  4. 04

    以後、発行する請求書に登録番号を記載して運用開始

※ 免税事業者(基準期間の課税売上が1,000万円以下)は登録する義務はありませんが、登録すると消費税の申告・納税義務が生じます。登録の前に税理士に相談することを推奨します。

03 設計料請求書の必須記載事項

適格請求書として有効であるために、設計料の請求書には以下6項目が必要です。

01

発行者の氏名・名称と登録番号

「T+13桁」の形式。個人事業主の場合は屋号+氏名でも可

02

取引年月日

請求対象となるサービスの提供年月日、または請求書発行日

03

取引内容

「〇〇邸新築工事 建築設計業務(基本設計)」のように具体的に記載

04

税率ごとの合計対価の額

建築設計は標準税率10%のみが対象(軽減税率対象品目なし)

05

消費税額等

「消費税額 〇〇円」と明記する。税込総額から逆算でも可

06

受領者の氏名・名称

「〇〇様」「株式会社〇〇 御中」など、クライアントを特定できる記載

04 着手金・中間金・竣工金の分割請求

設計事務所では1案件の設計料を「着手金 → 中間金(実施設計完了時)→ 竣工金」と複数回に分けて請求することが一般的です。インボイス制度のもとでは、各回の請求書がそれぞれ単独で適格請求書の要件を満たす必要があります。

実務上のポイントは2点です。第一に、各請求書に「1案件分の設計料〇〇円のうち着手金として〇〇円」と、全体像と今回分の金額を明示すること。第二に、消費税額を各請求書ごとに正確に計算・記載することです。

複数回の請求にまたがって後からまとめて修正・返還する「適格返還請求書(返還インボイス)」の仕組みもありますが、請求のたびに正確に発行するほうが管理しやすく、施主・クライアントとのトラブルも少なくなります。

05 電子帳簿保存法との関係

インボイス制度と併せて理解しておきたいのが電子帳簿保存法(電帳法)です。2024年1月から、電子取引(メール・クラウドで受け取った請求書・領収書)のデータ保存が義務化されました。

設計事務所でよくあるケースとして、施主からメールで送られてきた見積書や発注書、外注先(構造設計事務所・設備設計者)からの請求書PDFなども電子取引として保存義務があります。「取引年月日・金額・取引先が検索できる形式」で保存することが求められます。業務管理ツールを使う場合は、電帳法対応の有無を事前に確認してください。詳しくは電子帳簿保存法 設計事務所ガイドおよび建築士事務所の業務管理ガイドもあわせてご覧ください。

よくある質問

Q

設計事務所はインボイス制度への登録が必要ですか?

A

消費税の課税事業者(概ね前々年の課税売上が1,000万円超)は、クライアントが仕入税額控除を受けるために登録が推奨されます。免税事業者は義務ではありませんが、法人や課税事業者の取引先から登録番号を求められるケースが増えています。登録するかどうかは、クライアントの属性(課税事業者か一般個人か)を踏まえて判断してください。

Q

設計料の請求書に記載しなければならない項目は何ですか?

A

適格請求書(インボイス)として有効であるためには、①発行者の氏名・名称と登録番号(T+13桁)、②取引年月日、③取引内容(設計業務の具体的な内容)、④税率ごとの合計対価の額(税抜または税込)、⑤消費税額等、⑥受領者(施主・クライアント)の氏名・名称、の6項目が必要です。印紙の貼付が必要な場合(一定額以上の請負契約書等)は別途確認してください。

Q

着手金・中間金・竣工金と分割して請求する場合はどうすればよいですか?

A

原則として、各回の請求書がそれぞれ単独で適格請求書の要件を満たす必要があります。「1案件分の設計料のうち着手金として〇〇円」のように内容を明示し、各請求書に登録番号・消費税額等を記載してください。後からまとめて発行する「適格返還請求書」の仕組みもありますが、請求のたびに発行するほうが実務上は分かりやすく管理しやすい方法です。

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Tategumiは、インボイス制度の要件を満たす適格請求書を初期設定のまま自動で発行します。電子帳簿保存法に対応した改ざん防止アーカイブも標準搭載。コンプライアンス対応を設定なしで実現する、一人の建築士事務所のための業務OSです。