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実務ガイド / 2026.08.19

電子帳簿保存法の対象書類一覧|一人建築士事務所が最低限おさえるべき区分と実務対応

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電子帳簿保存法の対象書類:結論から

「電子帳簿保存法の対象書類って、うちの事務所は何を保存すればいいの?」——一人で設計から事務まで回している建築士さんから、よく聞かれる問いです。

先に結論を言います。2024年1月以降、すべての事業者に義務が生じているのは「電子取引データ保存」だけです。メールやクラウドサービスで受け取った請求書・領収書のPDFを、紙に印刷して捨てることはもう認められていません。それ以外の区分(電子帳簿等保存・スキャナ保存)は現時点で任意です。

この記事では、法律の3区分と対象書類の全体像を整理し、一人建築士事務所の実務で何が問題になりやすいかを具体的に解説します。

電子帳簿保存法の3区分と対象書類一覧

① 電子帳簿等保存(任意)

国税関係の帳簿・書類をはじめから電子データで作成・保存する区分です。会計ソフトで作った仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳などがここに該当します。

  • 仕訳帳・総勘定元帳(主要簿)
  • 現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳(補助簿)
  • 自社で作成した決算書・貸借対照表・損益計算書
  • 自社が作成した請求書・見積書・契約書の控え

一人建築士事務所が弥生・freee等の会計ソフトを使っていれば、帳簿はすでに電子データです。この区分の要件を満たせれば税務調査での優遇もありますが、強制ではありません。

② スキャナ保存(任意)

紙で受け取った書類をスキャン・撮影して電子保存する区分です。対象は紙のまま届いた書類の原本です。

  • 紙で受け取った請求書・領収書
  • 紙の契約書・見積書・納品書
  • 工事請負契約書(紙原本の場合)

スキャナ保存には「読み取り解像度200dpi以上」「カラー保存」「タイムスタンプ付与または改ざん防止措置」などの要件があります。任意ですが、対応すれば紙原本の廃棄が可能になります。要件の詳細は国税庁の公式ガイドラインで確認してください。

③ 電子取引データ保存(2024年1月より義務)

この区分だけは全事業者に義務があります。「電子取引」とは、電子メールやクラウドサービスを通じて書類のやり取りをした取引です。

  • メールに添付されて届いたPDF請求書・領収書
  • AmazonビジネスやYahooショッピング等のオンライン購入領収書
  • クラウド会計ソフトの利用明細(メール・マイページ上のもの)
  • インターネットバンキングの振込明細
  • 施主・職人とのLINEやメールで送受信した見積書・請求書のデータ
  • Dropbox・Google Driveなどで共有された契約書PDF

これらをプリントアウトして紙で保管するだけでは法令違反になります。受け取ったデータのまま、検索できる状態で保存する必要があります。

一人建築士事務所で特に注意が必要な書類

建築設計の実務では、以下の書類が電子取引データ保存の対象になりやすいです。見落としが起きやすい順に挙げます。

  • 職人・工務店から届くPDF見積書:メール添付で来るケースが多く、対象になります
  • 施主に送った請求書の控え:自社が送信した電子データも保存が必要です
  • ソフトウェア・クラウドサービスの利用明細:CADソフト、設計支援ツールの請求書メール
  • 材料・備品のオンライン購入領収書:モノタロウ・Amazonビジネス等
  • 工事請負契約書のPDF:電子署名・電子メールで締結した場合は対象

一方、紙でしかやり取りしていない書類(対面で渡した紙の領収書など)は電子取引データ保存の対象外です。ただし、その紙書類も保存義務(原則7年)があることは変わりません。

電子取引データ保存の要件:何をどう保存するか

要件① 改ざん防止措置

保存したデータが後から書き換えられていないことを担保する仕組みが必要です。主な対応方法は次の3通りです。

  • タイムスタンプを付与する(受領から概ね7営業日以内)
  • 訂正削除の履歴が残るシステムで保存する(クラウドストレージ等で履歴管理できるもの)
  • 訂正削除を行った場合に記録が残る運用ルールを定め、それに従って保存する(最もシンプルな対応)

一人事務所の現実的な選択肢は、タイムスタンプ対応のクラウドサービスを使うか、訂正削除の防止に関する事務処理規程を作成してフォルダ管理する方法です。後者は国税庁がひな型を公開しています。

要件② 検索機能の確保

保存したデータを「日付・金額・取引先」で検索できる状態にする必要があります。ただし、売上高が1,000万円以下の小規模事業者は、税務調査時に電子データをダウンロードして渡せる環境があれば、検索機能要件が不要とされています(2023年度改正)。多くの一人建築士事務所はこの緩和要件に該当する可能性があります。詳細は税理士または国税庁のサイトで自社の状況に合わせて確認してください。

保存期間と保存場所

電子帳簿保存法対象書類の保存期間は、原則として7年間(欠損金がある場合は最大10年)です。保存場所はクラウドでも社内サーバーでもかまいませんが、税務調査の際に速やかに提示できる状態が必要です。

  • フォルダ名のルール(例:「20260801_○○株式会社_請求書」)を決めて統一する
  • 案件ごと・月ごとに整理して、後から探せる構造にする
  • バックアップは別の場所にも保存する

一人事務所が陥りやすい3つの落とし穴

  • 「紙に印刷すれば大丈夫」と思っていた:電子取引データは電子のまま保存が必要。2024年以降は猶予措置も終了しています。
  • LINEで送受信した見積・請求書を管理していない:LINEで職人と書類のやり取りをしている場合、そのデータも電子取引に該当する可能性があります。スクリーンショットや転送で確実に保存する体制が必要です。
  • 保存ルールを決めていない:どこに・どんな名前で・誰が保存するか。一人でも「ルールなし」は後から探す手間とリスクになります。

電帳法対応をひとりでこなすために

一人建築士事務所にとって、電子帳簿保存法への対応は「難しい法律の話」ではなく、「書類をどこに・どう保存するかのルール整備」です。まずは電子取引データ保存(義務)から着手し、フォルダ命名ルールと保存場所を決めるだけで、大半のリスクは回避できます。

請求書・見積書の発行・受領がシステムの中で完結していれば、保存漏れや後からの検索に悩む機会も減ります。施主や職人とのやり取りが分散していると、どこに何があるか分からなくなりがちです。案件ごとに書類・写真・やり取りが自動で整理される環境があると、電帳法対応を含めた事務作業の負担が軽くなります。

Tategumi(2026年後半ローンチ予定)は、一人建築士事務所向けに電子帳簿保存法準拠の保存機能を含む業務OSとして開発中です。請求書の送付から書類の保存・弥生インポート形式のCSV出力まで、現在先行ユーザー登録を受け付けています。電帳法対応も含めた事務作業の流れをどう整理するか、30分のオンライン相談でご自身の状況を整理することができます(先行ユーザーは無料)。

よくある質問

Q. 施主に紙で渡した請求書の控えをスマホで撮影して保存すればいいですか?
自社が紙で作成・交付した書類の控えは「スキャナ保存」の対象です(任意)。電子取引データ保存の対象ではないため、紙のまま保管することも引き続き可能です。

Q. 免税事業者でも電子取引データ保存は必要ですか?
はい。電子取引データ保存の義務は課税・免税を問わず、すべての事業者に適用されます。ただし売上規模による検索機能の緩和要件は免税事業者にも適用されます。

Q. LINEで送った請求書は電子取引データ保存の対象ですか?
LINEを通じて請求書データ(PDF等)を送受信した場合、電子取引に該当する可能性があります。対象かどうか判断に迷う場合は、税理士または国税庁の相談窓口に確認することをお勧めします。

Q. 保存したデータが消えた場合はどうなりますか?
保存義務を果たせなかった場合、青色申告の承認取り消しや加算税のリスクがあります。クラウドへのバックアップと、複数箇所への保存を習慣にしてください。

※本記事は一般的な法令解釈に基づく情報提供を目的としており、個別の税務判断は税理士等の専門家にご相談ください。制度の内容は改正により変わることがあります。最新情報は国税庁の公式サイト(nta.go.jp)でご確認ください。

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