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実務ガイド / 2026.07.20

工事写真の整理・保存
建築士法が定める
工事監理記録の実務

「どのアプリを使うか」の前に「何を・なぜ・どのくらい残すか」を整理する。建築士法の工事監理義務に基づいて、一人の設計事務所が写真記録で守るべきことをまとめました。

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01 建築士法が定める工事監理の義務

建築士が建築主(施主)から工事監理の委託を受けた場合、建築士法第20条の3に基づき、工事の施工が設計図書のとおりに実施されているかを確認し、その結果を建築主に報告する義務があります。

この工事監理報告の根拠となる記録が、工事写真です。写真は設計図書との整合性を確認した証拠として機能するため、「撮ったが整理されていない」状態は法的には記録がない状態に近くなります。

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建築士法第20条の3(工事監理報告)

一級・二級・木造建築士が工事監理を行う場合、施工が設計図書のとおりに実施されているか確認し、その状況を建築主に報告しなければならない。確認申請が必要な建築物が対象。

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建築士法施行規則第21条(書類の保存義務)

工事監理に関する書類(工事監理報告書・その根拠となる記録を含む)は、業務完了から15年間保存する義務がある。電子データで保存する場合は電子帳簿保存法の要件も同時に満たす必要がある。

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工事監理報告書の位置付け

施工完了後に建築主に提出する工事監理報告書は、工事写真・現場確認記録を根拠とする。写真が案件・工程ごとに整理されていないと、報告書の作成自体が困難になる。

法定義務の全体像は建築士事務所の業務管理ガイドにまとめています。

02 保存すべき写真の種類と法定保存期間

建築士法施行規則に基づく保存義務期間は15年です。工事監理の証拠として機能させるには、以下の写真カテゴリを工程ごとに整理して保存する必要があります。

必須(工事監理の根拠)

  • 基礎・配筋確認 — 図面と照合した配筋状況(鉄筋径・ピッチ・定着長さ)
  • 躯体・軸組確認 — 設計図書どおりの施工を確認した状況
  • 断熱・防水施工 — 完成後に見えなくなる工程の施工状況
  • 設備配管・電気配線 — 仕上げ前の状態(後追い確認が不可能な工程)
  • 竣工・完成確認 — 各部位の仕上がり状況

推奨(施主との記録・トラブル対策)

  • 施主立会い確認 — 施主と共に確認した際の現場写真
  • 変更指示記録 — 設計変更があった箇所の施工前・施工後
  • 追加工事 — 当初設計に含まれない追加工事の施工状況

電子データで保存する場合のファイル命名規則・改ざん防止措置は電子帳簿保存法 設計事務所ガイドを参照してください。

03 一人事務所の実務:写真整理の3ステップ

一人で複数案件を並行する場合、「後でまとめて整理する」は機能しません。撮影から48時間以内に工程と案件に紐付けるのが現実的な上限です。

  1. Step 01

    撮影時 — タイムスタンプと撮影意図を記録する

    スマートフォンの位置情報・撮影日時(Exifデータ)を有効にしておく。撮影直後に、その写真が「何の確認のために撮ったか」をメモやボイスメモで残す。工程確認写真は必ず図面との対比が分かるよう、部位を明示して撮る。

  2. Step 02

    整理時 — 案件・工程・日付のフォルダ構造で保存

    「案件名 / 工程カテゴリ / YYYYMMDD_工程名_連番.jpg」の命名規則で保存する。電子帳簿保存法の検索要件(日付・金額・取引先)は写真自体には適用されないが、ファイル命名を統一しておくとアーカイブ時に対応しやすい。完成後に見えなくなる工程(配筋・断熱・配管)は工程完了直後に必ず整理する。

  3. Step 03

    アーカイブ時 — 改ざん防止措置と15年保存

    クラウドストレージの変更履歴(バージョニング)機能を有効にするか、タイムスタンプサービスを利用して保存日時を証明できる状態にする。案件完了時に工事監理報告書に添付する写真セットを「確定版」としてまとめ、以後変更しないフォルダに移動する。

04 現場写真からAIが監理レポートを自動生成

工事写真の整理フローが整ったあとのステップとして、現場写真から工事監理レポートのドラフトを自動生成するツールを紹介します。

Tategumiの無料ツール「現場写真レポート自動作成」は、複数の現場写真をアップロードするとAIが各写真の工程・部位・状態を読み取り、日本語の工事監理レポートドラフト(DOCX形式)を生成します。報告書作成の時間を大幅に削減できます。

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AIによる写真キャプション自動生成

現場写真をアップロードするとAIが工程・部位・施工状況を読み取り、監理記録に使えるキャプションを日本語で生成。写真1枚ずつ説明文を書く作業を省力化。

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DOCX形式でダウンロード

生成したレポートは編集可能なWord(.docx)形式でダウンロード。施主への工事監理報告書に貼り付けて使える状態で出力。

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メール登録でエクスポート

レポートの生成・プレビューは無料。DOCXダウンロード時にメールアドレスの登録が必要(登録はすぐ完了、迷惑メールは送りません)。

よくある質問

Q

工事監理写真はどのくらいの期間保存すればよいですか?

A

建築士法施行規則第21条に基づき、工事監理に関する書類は業務完了後15年間保存する義務があります。工事監理報告書の根拠資料となる工事写真も同様に15年間の保存が求められます。電子データとして保存する場合は、電子帳簿保存法の電子取引データ保存要件(改ざん防止措置・検索機能)も同時に満たす必要があります。

Q

スマートフォンで撮影した写真は工事監理記録として有効ですか?

A

撮影機材に制限はなく、スマートフォンで撮影した写真も工事監理記録として使用できます。ただし、実務上重要なのは「いつ・どの工程を・何の目的で撮影したか」が後から確認できることです。撮影日時のExifデータや、案件・工程と紐付いたファイル管理体制を整えておくことで、建築士法上の工事監理記録として機能します。タイムスタンプ付与や改ざん防止措置を施すと、電子帳簿保存法にも同時対応できます。

Q

工事写真の整理を後回しにするとどのようなリスクがありますか?

A

主なリスクは3点あります。第一に、建築士法に基づく工事監理報告書の作成が困難になること — 写真と工程・日付が対応していないと報告書の根拠が薄くなります。第二に、施主からのクレームや瑕疵担保責任に関するトラブルが発生した際に、施工状況を証明する根拠が失われること。第三に、電子帳簿保存法の要件(検索性・タイムスタンプ等)を事後的に満たすことが難しくなること。写真は撮影した直後に案件・工程単位で整理する運用が最もリスクが低くなります。

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